「令和7年度農事功績者表彰式」 総裁 秋篠宮皇嗣殿下お言葉

 本日、大日本農会「令和7年度農事功績者表彰式」が、全国各地から多くの表彰者を迎え、盛大に開催されることを誠に喜ばしく思います。

 このたび、表彰を受けられる皆様に心からお慶びを申し上げます。

 大日本農会は、農業・農村の振興と発展に寄与することを目的として1881年、明治14年に創設されました。爾来、140年余りにわたって、生産現場の農業者、特に篤農家の活動を基礎として、今日まで数々の事業を展開してまいりました。中でも、「農事功績者表彰事業」は、本会最大の事業であり、1894年に始まって以来、今年で109回を数えます。長い歴史を重ね、総受章者数が1万4,200名を超えるに至っていることに深い感慨を覚えます。

 さて、農業と農村は、国民生活の基盤である食料の供給のみならず、国土の維持保全やそこに生息する生き物の多様性の維持、そして地域文化の継承など、国民の暮らしにとって大切かつ多面的な役割を果たしております。

 いっぽう、農業者や農村人口の減少と高齢化、カロリーベースの食料自給率が38パーセントと主要先進国の中で最低の水準であることなど、農業や農村に関する課題は山積しています。そして、今年は米不足と価格の高騰が大きな社会問題となっております。

 また、近年の異常な高温など気候変動の影響、生産資材価格の高騰、温室効果ガスの削減など、さまざまなことを考えて農業生産に取り組んでいくことが求められています。

 このような状況の下、本表彰事業が、各地域で創意工夫を凝らし、課題解決に取り組んでおられる方々の励みになるとともに、本会の活動が、末永く我が国農業の振興に貢献できることを願っております。

 おわりに、本日表彰を受けられる方々のご功績に深く敬意を表しますとともに、皆さまの活動がさらに発展していかれることを祈念し、表彰式に寄せる言葉といたします。

2025年11月12日

                                     大日本農会総裁 秋篠宮文仁