令和4年度農事功績者表彰事業受章者に対する総裁秋篠宮皇嗣殿下のお言葉

 大日本農会「令和4年度農事功績者表彰式」が,全国各地から多くの受章者を迎え,盛大に開催されることを誠に喜ばしく思います。そして,本日受章される皆様に心からお喜びを申し上げます。特に,今回は3年ぶりの表彰式となり,皆様にお目にかかれましたことを大変うれしく思います。

 さて,大日本農会は,農業・農村の振興と発展に寄与することを目的として1881 年に創立されました。爾来,140 年余りにわたって,生産現場の農業従事者,特に篤農家の活動を基礎として,今日まで数々の事業を展開してまいりました。その中には,中央農事講演会や農業懇話会,地域セミナーの開催などがあり,我が国における農業・農村の人材育成と新しい農業技術・経営の普及に大きく貢献しております。

 そして,本日挙行される「農事功績者表彰事業」は,本会における最大の事業であり,1894 年の創設以来,本年で106 回を数えます。この長い歴史とともに,この間の総受章者数が1 万4,000 名を超えるに至っていることに深い感慨を覚えます。

 農業と農村は,国民生活の基盤である食料を供給するだけでなく,国土の維持保全やそこに生息する生き物の多様性の維持,そして地域文化の継承など,国民の暮らしにとって大切かつ多面的な役割を果たしております。

 いっぽう,我が国の農業・農村を取り巻く状況を見ますと,農業者・農村人口の減少と高齢化や,カロリーベースの食料自給率が主要先進国の中で最低の水準になっていることなど,課題は山積しております。また,近年の豪雨災害やCOVID-19 による影響に加え,世界情勢の緊迫化などを背景とした資材高騰の問題,そして温室効果ガスの削減も含め,さまざまな事象を考慮した農業生産に取り組んでいくことが求められていることと思います。

 このような状況の下,本表彰事業が,各地域で創意工夫を凝らし,直面する課題に取り組んでおられる方々にとってさらなる励みになる一つの契機になるとともに,本会の活動が,今後の我が国における農業の振興に貢献していくことを願っております。

 おわりに,本日表彰を受けられる皆様のご功績に深く敬意を表しますとともに,皆様の活動がさらに発展していくことを祈念し,表彰式によせる言葉といたします。

2022年11月17日

                                     大日本農会総裁 秋篠宮文仁